てんかん病態をiPSで再現…治療薬開発に期待

2013年5月4日 読売新聞

ips4 てんかん患者の皮膚から作ったiPS細胞(人工多能性幹細胞)を神経細胞に変化させ、てんかんの病態を再現することに、福岡大と慶応大の研究チームが成功したと発表した。

 治療薬の開発につながると期待される成果で、英科学誌「モレキュラー・ブレーン」電子版に2日掲載された。

 てんかんは全身がけいれんしたり、突然意識を失ったりする脳の疾患で、神経細胞の一部が過剰に働き、起きる。全国に100万人強の患者がおり、うち3割は薬が効かない難治てんかんを患っている。

 研究チームは、難治てんかんの一種「ドラベ症候群」の患者の皮膚からiPS細胞を作製し、さらに脳の神経細胞に変化させた。この神経細胞のうち、発症に関わっているとみられる細胞を選び、活動を分析した。

 その結果、てんかん患者由来の神経細胞の活動能力は、健常な人から作った細胞よりも低く、てんかんのマウスの細胞と同様の反応を示していた。これらの神経細胞が、脳の過剰な活動を抑える役割を持つ細胞であることも判明し、うまく働かないことでてんかんを発症するとみられた。

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