山形県内今冬、ヒートショック疑い死58人 県庄内保健所「室温差少なく」

山形新聞 2013年02月03日

heatshock 厳しい寒さが続く中、特に気を付けたいのが、急激な温度変化により体に変調を来す「ヒートショック」だ。県内では昨年11月から2カ月半の間、入浴事故などヒートショックが疑われる急病人の搬送が264件に上り、58人が死亡していたことが山形新聞の取材で分かった。死者数は同期間の交通事故犠牲者9人の約6.4倍。県庄内保健所の松田徹所長は「家の中の温度差を少なくすることが予防につながる」と呼び掛ける。

 ヒートショックは次のようにして起きる。暖房の効いた部屋から寒い風呂やトイレに行くと、血圧や脈拍が上がる。熱い湯に入るとさらに血圧は上昇、体が温まると今度は逆に血管が広がり血圧が低下する。若ければ急激な変化にも体が対応できるが、高齢者は心筋梗塞や脳出血、脳こうそくの危険性が増すほか、意識障害で転倒や溺死につながる。

 山形新聞は県内の12消防本部に、昨年11月1日から今年1月15日までのヒートショックが疑われる急病人の搬送件数や死者数などを聞き取り、回答をまとめた(山形市、西村山広域、最上広域、置賜広域の各消防本部は入浴事故数のみ)。搬送件数は264件。一部、年代が不明なケースもあるが、全体の8割が65歳以上で、死者も8割が高齢者だった。

 「冬になり室内の寒暖の差が大きくなると、特に高齢者が風呂場などで意識を失うケースが増える」と話すのは最上広域消防本部の担当者。事例では▽80代男性が入浴中に意識喪失。家族が発見するも死亡(鮭川)▽80代男性が自宅の浴槽で死亡。高血圧の持病があり、死因は急性心不全(東根)▽70代男性がトイレに向かう途中、右足に力が入らなくなった。一過性脳虚血と診断(天童)―などがあった。

 入浴事故の予防啓発活動「庄内41℃(よい)ふろジェクト」を展開する県庄内保健所は、予防のポイントとして▽体調が悪いときや飲酒後は入浴しない▽脱衣所と浴室を暖める▽お湯の温度は41℃以下にする▽入浴前後の水分補給―などを提唱している。

 松田所長は「風呂のお湯の温度が42度以上になると、事故の発生が増加する。入浴習慣の改善だけでなく、家の断熱性能を高め、家の中の温度差を少なくしてほしい」としている。

ヒートショック現象

wikipedia より

ヒートショック(英: Heat shock)とは、医学的には細胞にとって理想的な体温より高い温度下にさらされた場合の生化学的な効果のことである。細胞が熱等のストレス条件下にさらされた際に、熱ショックタンパク質(英:Heat Shock Protein、HSP)群の発現が上昇して細胞を保護する。

日本の建設業界や暖房メーカーで使われている用語では、ヒートショックとは、急激な温度変化により体が受ける影響のことであり、正式な医学用語ではない。リビング・浴室と脱衣室・トイレなど、温度変化の激しいところを移動すると、体が温度変化にさらされ血圧が急変し、脳卒中や心筋梗塞などにつながるおそれがある。日本の入浴中の急死者数は諸外国に比べて高いとされ、その理由は浴室と脱衣室の温度差であるとされる。

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