これまでの風疹の流行で、母親が妊娠中に感染したために心臓などに障害が出る赤ちゃんが今後、増えるおそれがあることから、専門家は、こうした赤ちゃんの診断や治療、それに母親を支援する態勢を整える必要があると指摘しています。
岐阜市に住む可兒佳代さんは30年余り前、妊娠中に風疹に感染し、娘の妙子さんは心臓や目などに重い障害が出て先天性風疹症候群と診断されました。
その後、妙子さんは心臓の障害が原因で亡くなり、可兒さんは10年前から個人でホームページを開いて風疹の予防を呼びかけてきました。
去年まではアクセスする人はあまりいませんでしたが、ことし3月以降、妊娠中に風疹に感染した女性からの相談など掲示板への書き込みが20件余りに上っています。また、娘が先天性風疹症候群と診断されたという関東地方の母親からは「娘は白内障の症状のほか発達の遅れもあり不安がいっぱいだ」というメールも寄せられています。可兒さんは「今後、どんな障害が出るか不安を抱え、わらにもすがる思いで書きこんでいる人が多い」と話しています。
今回の風疹の流行では、全国で13人の赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断されていて、専門家は赤ちゃんの診断や治療、それに母親を支援する態勢を整える必要があると指摘しています。
東京・千代田区の三井記念病院産婦人科の小島俊行医師のもとには、妊娠中に風疹に感染した女性からの相談が相次いでいて、このうち9人が来月から12月にかけて出産予定だということです。
小島医師は「赤ちゃんにどんな障害が出てどのような治療が必要かを母親は一番心配している。自治体や国、医師が連携して子どもを定期的に診察したり母親をケアしたりする態勢を作る必要がある」と話しています。