食事のメニューが同じでも、最初に野菜を食べると血糖値の上がり方がゆるやかになるとする報告を、大阪府立大の今井佐恵子教授(臨床栄養学)らのグループが論文にまとめ、英国の糖尿病専門誌に掲載された。「食べる順番」はダイエットの手法としても注目されているが、効果の一端が数値で確認された。
2型糖尿病の患者19人と健康な21人に、血糖値を連続して測定できる装置を身につけてもらい、同じ食事内容で野菜を先に食べたときと、炭水化物を先に食べたときとで血糖値の変動がどう違うか、調べた。
「野菜が先」は、500グラムの野菜を5分かけて食べた後、肉や魚などのたんぱく質を食べ始め、さらに5分してからご飯やパンなどを食べるという条件。
すると、患者と健康な人のいずれでも、野菜を先に食べたときに食後の血糖値の上昇幅が半分ほどに抑えられた。炭水化物が先だと血糖値は1デシリットルあたり300ミリグラム以上に達したのに野菜が先だと150~250ミリグラムほどですむ人もいた。食前の血糖値の低下も抑えられた人もいて、24時間の変動幅は約3分の2に減少した。
野菜が先だと、食物繊維の作用で炭水化物の吸収がゆっくりになることなどが考えられる。早食いをすると効果が弱まるという。
血糖値の大幅な変動は、動脈硬化などを促進させるとされる。上昇幅を減らせば、脂肪をためこむ働きのあるインスリンの分泌も減る。グループのメンバーで梶山内科クリニック(京都市)の梶山静夫院長は「野菜から先に食べるのは、実行しやすい生活習慣病の予防策ではないか」と話す。