本来は「個人宅」を訪問する場合にしか認められていなかった高い点数が、特定の条件を満たせば「高齢者施設など」の入居者に対しても算定できるようになった、という重要な緩和措置について書かれています。
以下に、専門用語をかみ砕きながら、わかりやすく丁寧にまとめて解説します。
1. ニュースの背景と「何が変わったのか?」
2026年度(令和8年度)の調剤報酬改定において、在宅訪問を行う薬局を評価する「在宅薬学総合体制加算2」という仕組みが新設されました。
- 当初のルール:
- 同じ建物の中に患者さんが「1人だけ」しかいない場合(主に個人宅)は、手厚い対応が必要になるため、高い点数である「イ(100点)」が設定されました。
- 一方、同じ建物の中に複数の患者さんがいる場合(高齢者施設など)は、効率よく訪問できるため、低い点数(50点など)になっていました。
- 今回の訂正(変更点):
- 厚生労働省は通知の一部を訂正し、高齢者施設などの入居者であっても、重症な方や要介護度の高い方に対しては、特例として高い方の「イ(100点)」を算定してもよいとルールを改めました。
2. 施設患者で「100点」を算定するための条件
この特例を適用するためには、「薬局側の条件」と「患者側の条件」の両方を満たす必要があります。
① 薬局側の条件(どちらかを満たすこと)
- ア: 在宅訪問の実績が豊富であること(直近1年間の在宅訪問などの実績が合計480回以上あり、かつ特定の体制を整えている)。
- イ: 「在宅薬学総合体制加算2」の届出をすでに地方厚生局に行っている。
② 患者側の条件(以下のいずれかに該当すること)
施設に入居している患者さんが、以下のような「手厚い医療や介護が必要な状態」である必要があります。
- 重篤な疾患や医療処置が必要な状態:
- 末期がん、指定難病、重度の床ずれ(褥瘡)がある。
- 24時間点滴(中心静脈栄養)、人工呼吸器、在宅酸素療法、人工肛門、カテーテルなどを使用している。
- 高い介護度や認知症の状態:
- 要介護3、4、5の認定を受けている。
- 障害支援区分が「区分2以上」である。
- 日常生活に支障が出るレベルの認知症(医師の診断でランクⅢ以上)である。
- 頻繁な看護や処置を受けている状態:
- 週1回以上の訪問看護を受けている。
- 訪問診療や施設にいる看護師から、インスリンなどの注射や、たんの吸引、経管栄養などの処置を受けている。
- 医師から麻薬(医療用麻薬の痛み止めなど)を処方されている。
- 特別な医学管理が必要な子供など:
- 15歳未満で、特定の持病(脳性麻痺、小児慢性特定疾病など)がある。
- 出生体重が1,500g未満で、1歳未満の乳児。
3. 手続き上の注意点(薬局の実務)
この特例を使って100点を請求する場合、薬局は「調剤報酬明細書(レセプト)」の備考欄(摘要欄)に、以下の2点をきっちり記入しなければなりません。
- 薬局がどっちの条件に当てはまるか(上記「薬局の条件」のア・イのどちらか)
- 患者さんがどの状態に当てはまるか(上記「患者側の条件」のどれに該当するか)
まとめ
一言でいうと、「施設に入っている患者さんであっても、個人宅と同じくらい手厚いお薬の管理やケアが必要な人(要介護3以上や寝たきり、重病の方など)を対応した場合は、薬局の頑張りを高く評価(100点分を支給)します」という、国からのルール見直しが発表されたという内容です。
これにより、施設に入所している重症の患者さんに対しても、薬局がより積極的に手厚い在宅医療サービスを提供しやすくなることが期待されています。