はじめに
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされる感染症で、50歳以上の成人に特に多く見られます。過去に水疱瘡(水痘)にかかった人の体内に潜伏しているウイルスが、免疫力の低下とともに再活性化することで発症します。
令和7年(2025年)4月から、帯状疱疹ワクチンは定期接種として実施されることが決定されています。
帯状疱疹ワクチンの種類
現在、日本では2種類の帯状疱疹ワクチンが使用されています。それぞれに特徴があり、効果や接種方法が異なります。
生ワクチン
- 病原性を弱めた生きたウイルスを使用
- 1回の皮下注射で接種完了
- 費用:約9,000円程度
- 予防効果:約50%
- 効果持続:約5年程度
組換えワクチン
- 病原性をなくしたウイルスの一部を使用
- 2回の筋肉内注射(2ヶ月間隔)
- 費用:1回約22,000円
- 予防効果:97.2%
- 効果持続:10年後も80%超
接種対象者と定期接種
帯状疱疹ワクチンは予防接種法に基づく定期接種の対象となります。
定期接種対象者
- 年度内に65歳を迎える方
- 60~64歳で、HIV感染症等による免疫機能障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
- 経過措置(令和7年度から5年間):70、75、80、85、90、95、100歳になる方
任意接種
50歳以上のすべての方が接種対象となります。
費用と助成制度
定期接種化により、これまで全額自己負担だった約4万円の費用が大幅に軽減されます。
定期接種時の個人負担額
- 生ワクチン 5,000円
- 組換えワクチン 18,200円/回
任意接種時の費用(参考)
- 生ワクチン 約9,000円
- 組換えワクチン 約22,000円/回
各自治体によって助成内容は異なります。生活保護受給者等は全額助成を受けられる場合があります。
副反応について
生ワクチン
- • 注射部位の腫れ(約50%の方)
- • 全身への副反応は比較的少ない
- • 軽度な局所反応が主体
組換えワクチン
- • 副反応の発現率:50.6%
- • 注射部位の紅斑(44.0%)
- • 注射部位のそう痒感(27.4%)
- • 胃腸症状、頭痛、筋肉痛、疲労感
- • 悪寒、発熱
いずれのワクチンも、ごくまれにショックやアナフィラキシーといった重篤な副反応が発生する可能性があります。接種後は医療機関で経過観察を行うことが推奨されています。
接種できない方
生ワクチン
以下の方は接種できません:
- • HIV感染症などの免疫機能異常疾患の方
- • 免疫抑制治療を受けている方
- • 免疫抑制状態の方
組換えワクチン
より幅広い対象者に適用可能:
- • 免疫抑制状態の方でも接種可能
- • より安全性が高い
- • 幅広い適応範囲
ワクチンの選択について
シングリックス(組換えワクチン)は、50歳以上で約97%、70歳以上でも90%程度の発症予防効果があり、帯状疱疹後神経痛の予防効果も9割以上と報告されています。
生ワクチンの利点
- 1回の接種で完了
- 費用が安価
- 副反応が少ない
組換えワクチンの利点
- 高い予防効果(97%)
- 長期間の効果持続
- 免疫抑制状態でも接種可能
個人の健康状態、経済状況、予防効果への期待度などを総合的に考慮して、かかりつけ医と相談の上で選択することが重要です。
まとめ
帯状疱疹ワクチンは、高齢者の健康維持において重要な予防手段です。令和7年4月からの定期接種化により、より多くの方が経済的負担を軽減して接種を受けることが可能になります。
予防効果
帯状疱疹の発症を効果的に予防
定期接種
令和7年4月から開始
負担軽減
公費助成により費用大幅軽減
帯状疱疹は一度発症すると長期間の痛みを伴うことが多いため、「予防に勝る治療はない」という観点からも、ワクチン接種の重要性は高いといえるでしょう。定期接種の対象となる方は積極的に接種を検討し、対象外の方も任意接種として検討する価値があります。