津でインフル集団感染 透析患者ら60人、重症も

2013/01/08 19:38 【共同通信】

tsucity 津市の遠山病院は8日、病院内の「透析センター」でインフルエンザの集団感染があり、7日までに透析患者のうち48人と、職員12人の感染を確認したと発表した。8人が入院、1人が肺炎で重症だが命に別条はない。また、感染者の糖尿病患者(69)が6日、心筋梗塞で死亡。病院は感染との関連はないとみているが、さらに調べている。

 病院によると、感染したのは30代から90代までの男女。2日から7日にかけて、いずれもインフルエンザA型の陽性反応が確認され、うち2人はA香港型だった。病院側は4日に職員らが訴え出たことで集団感染を把握したという。

インフルエンザ、60人が集団感染 津の遠山病院

中日新聞 2013年1月9日

 津市南新町の総合病院「遠山病院」(竹内敏明院長)は八日、透析センターに通院している患者ら四十八人と職員十二人の計六十人がインフルエンザに集団感染したと発表した。うち六十九歳の男性患者が心筋梗塞で六日に死亡した。病院は会見で「感染と死亡との因果関係はない」と述べたが、今後、詳しく調べる。

 県や病院によると、今月二日、透析治療に携わっている男性看護師一人の感染を確認した。これを受け、病院は四~七日にかけて、透析センターを利用している通院患者百九十八人と入院患者七人の計二百五人と、職員五十一人を検査。その結果、六十人がA型のインフルエンザに感染していることが判明した。

 職員と患者の大半は昨年十一月にワクチン接種を受けていた。

 八日現在、感染が確認された六十人のうち、五十~七十歳代の男女八人が入院しており、うち六十三歳の女性が肺炎で重症となっている。

 亡くなった男性は、糖尿病で透析センターを四日に訪れていた。五日朝に発熱などの体調不良のため遠山病院を受診し、インフルエンザの感染が判明。いったん帰宅したが、自宅で倒れたため救急搬送され、六日未明に病院で死亡した。会見した竹内院長は「男性は糖尿病で免疫力は弱まっていたが、インフルエンザと心筋梗塞の関連の報告は国内ではない。現時点で感染と死亡の因果関係はないと考えている」と説明した。しかし、病院は今後、三重大などに協力を求めて調査する。

 遠山病院は五日、県津保健福祉事務所に集団感染の発生を報告。陽性患者の隔離と職員の出勤停止など拡大を防ぐ措置をとり、全患者と希望する家族に投薬治療をした。院内に設けた感染管理委員会が終息を確認するまで、新規入院患者の受け入れを止める。

◆透析医会「これほどの感染異例」

 病院内の透析センターで発生したインフルエンザの集団感染。県や日本透析医会は「これほど多数の集団感染が起きるのは異例だ」と口をそろえる。病院の説明では、透析医会の院内感染予防マニュアルに基づいて対策をとっており、竹内院長は「運用上の問題はないと考えている」と述べた。

 一般に人工透析は週三回、一回に四~五時間かけて受けなければならない。糖尿病などにより低下した腎機能を補うため、血液や体液の老廃物を強制的に浄化しなければ、命に関わるため、たとえインフルエンザなどに感染していても通院する必要がある。

 遠山病院の透析センターは八百平方メートルの大部屋にベッド六十床が並ぶ構造。インフルエンザは、空気感染ではなく、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)で感染するため、マニュアルではベッドの間隔を一メートル以上開け、感染した人が透析する時に個室で隔離したり、カーテンで仕切ったりするよう定めている。病院はこのマニュアルに従っていたと説明している。

 日本透析医会の山崎親雄会長は「散発的に五~十人程度が感染することはあるが、短期間にこれだけ多数が感染するのは聞いたことがない」と驚く。「一般的に透析中の患者が隣同士で話すことはなく、一人の患者から広がったとは考えにくい。別に原因があるのかもしれない」と推測する。

 県も報告を受けた五日に立ち入り調査をしており、医療企画課は「現状で不適切な対応は見当たらない」と説明している。

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