薬局カフェ 健康補給…福岡

2013年3月18日 読売新聞

drink カフェや健康チェックのコーナーを設ける薬局が増えている。くつろぎの場所とともに、健康に関する情報を提供しようという試みだ。

免疫力向上ティー 野菜中心ランチ 酵素取れるタルト

 福岡市中央区の調剤薬局「天神ココフル薬局」には2月、併設のカフェがオープンした。朝食やランチを提供しながら、健康情報を発信している。

 「何のハーブが入っているんですか」。カフェ「ココフル天神」で2人連れの女性客がスタッフに尋ねた。飲んでいたのは「免疫力アップ」と銘打ったハーブティー。

 店長の高嶋マキさん(39)が、茶葉入りの瓶を見せながら説明した。「インフルエンザ予防にいいとされるエキナセアやジュニパーベリーを中心にブレンドしたものです」。北米の先住民が薬草として重宝してきたそうだ。

 ほかに「美容」のハーブティーがあり、こちらはビタミンCが豊富なローズヒップやハイビスカスが中心。青汁やユズ、ショウガなどを使った飲み物のほか、玄米おにぎりや体にいい食材を使った日替わりのスープもある。

 肉や魚、乳製品を使わない「プレートランチ」は1日20食。管理栄養士の宮原邦子さん(38)が中心となって作っている。この日は大豆とカボチャの揚げないコロッケを主菜に、キノコのマリネや豆乳グラタンなどの副菜が並んだ。野菜の多さと調理法の工夫で、ボリュームはたっぷりなのに1食500キロ・カロリー程度に抑えているという。

 スイーツは、薬局長の薬剤師、岡田慶子さん(31)が担当している。ナッツ類や果物に含まれる酵素を取り入れるため、「ローフード」と呼ばれる加熱しない料理法を学び、メニューを考案。カシューナッツとココナツをクリーム状にして固め、イチゴをトッピングした「フローズンタルト」などを、週替わりで楽しめる。出産間近の女性客(31)は「ヘルシーで赤ちゃんにも安心」と話していた。

 カフェは、同薬局を経営する「九州メディカル」(北九州市)が「顧客の健康に貢献したい」と開いた。

 メニュー表には「かぜのお薬 80円」「便秘薬 50円」といった項目も並ぶ。薬剤師による調合が認められている「薬局製剤」で、7種類を1回分か1日分、3日分を選んで買える。病院に行く時間がない人に人気だそうだ。

 店内には血圧や血行の状態、筋肉量などを無料でチェックできる2台の測定器を設置している。プリント代は各100円。高嶋さんは「健康管理のヒントが得られる店にしたい」と話す。(ココフル天神 092・741・8150)

冷え性、花粉症… 体質別に漢方茶

 福岡県春日市や福岡市などに18店舗を展開する福神(ふくじん)調剤薬局グループは、うち2店舗にカフェを併設。漢方に詳しい薬剤師が開発したオリジナルのお茶を中心に、酢のドリンクや玄米コーヒーなどを300~500円で提供している。

 同市早良区の藤崎店にある「サプリメントカフェ福神茶楼(さろん)」では、アドバイザーの清水真奈美さん(52)が、玄米粉や甘酒を使った手作りの野菜ケーキ(200円)を用意。幅広い世代の人たちが集まるそうだ。

 「健康や人生に関する悩み事を聞くことも多い。話して少しでも楽になってもらえたら」と清水さんは話す。オリジナルのお茶は「花粉症」「冷え性」など体質に合わせて選べる。お茶にだしを加えて野菜スープにするレシピも紹介している。8席で午前9時~午後7時(土曜は午後3時まで)。日祝日は休み。問い合わせは同店(092・851・6011)へ。

 同市中央区の天神南店には、「サプリメントカフェ福神茶楼 さぷらる天神店」(092・732・7122)が併設されている。

疲れに酵素バー

 福岡市中央区の「大賀薬局福ビル店」には、酸素を吸って気分をリフレッシュさせる「酸素バー」が2台、置かれている。10分間100円で、誰でも利用できる。

 管理薬剤師の増本紀子さん(36)によると、高濃度の酸素を吸うことで、血中にたくさんの酸素が取り込まれ、疲労やだるさの原因となる乳酸を分解・除去してくれるそうだ。

 薬局は2008年、「森の中」をイメージして改装。入り口の壁やドアをなくし、ビルの通路を歩く人が店内を見渡せるようにした。壁面には緑の葉がたくさん描かれている。いまの季節は、スタッフが手作りした桜の花を貼ってピンクに彩っている。

 血圧や血行、体脂肪、活力年齢などが分かる2台の測定器を置いた「ヘルスチェック」のコーナーも設置。無料で、結果は印刷して持ち帰ることができる。「処方箋を持ってきた患者さんだけでなく、ちょっと休憩したいという人も利用できます。都会のオアシス空間として、癒やしを提供していきたい」と増本さん。(大賀薬局福ビル店 092・721・8188)

受診後に朝食も

 山口県下関市の調剤薬局「ワイズ薬局」の隣には、併設の「ケイズカフェ」(083・246・2122)がある。道向かいの循環器科・内科クリニックに通う患者が利用するほか、人気の日替わりランチを目当てに通ってくる固定客も多いという。

 カフェは、市内に薬局4店舗を展開する「コトブキ薬局」の会長、山下賢一さん(73)が2001年に開設した。「朝早く、遠くから来て診察開始の時間を待つ患者さんが多かったので、くつろげる拠点を作りたかった」

 シェフの田中豊さん(66)が、洋食やうどん、ワッフルなど多様なメニューを用意。検査のために朝食を抜いた人が受診後に食べたり、患者や医療関係者が健康談議をしたりしているそうだ。

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