65歳未満で発症する若年認知症の人の生活調査で、
就労経験のある人の約8割が、自主退職や解雇で仕事を
辞めていたことが分かった。
障害・老齢年金を受給している人は4割に届かず、
経済的な苦境に追い込まれがちな実態が浮き彫りになった。
調査は、認知症介護研究・研修大府センター(愛知県大府市)が
厚生労働省の補助を受けて実施。
愛知、大阪、岡山、長崎など15府県の医療機関と介護施設などに
昨年8月と10月に調査票を送り、一昨年度の2129人の生活状況
について、担当者らから回答を得た。
対象者の年齢層は61~64歳が1208人で最も多く、
56~60歳が547人で続いた。性別は男性1200人、
女性922人だった(無回答7人)。
就労状況の質問で、働いた経験があると確認できる人は1411人いた。
このうち9割近い1250人は調査時点では仕事をしていなかった。
119人は「解雇された」と答えた。「定年前に自己退職」も996人おり、
合計79・0%が職を失っていた。ほかに定年退職が135人。
仕事をしているのは161人(11・4%)にとどまった。
2129人のうち障害年金を受給しているのは569人(26・7%)。
老齢年金の繰り上げ受給者などを加えても758人(35・6%)だった。
税金や公共料金が軽減される精神障害者保健福祉手帳を取得している人も
2割にとどまった。
また、2129人のうち了承を得られた383人に、本人・家族への追加調査をした。
家計状況について、「とても苦しい」と「やや苦しい」との答えが40・2%。
発症時に仕事をしていた221人に職場の対応をたずねたところ、
「労働時間短縮」「職場内での配置転換」などの配慮が「なかった」との答えが19・5%だった。
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